脳の細胞はニューロンと呼ばれます。
全身の細胞の形とは異なり、枝のような「軸索」によって繋がっています。
そしてニューロンから出る電気が私たちを動かします。
脳の最新情報で分かっていることは、
「年齢に関係なく新しい事実やスキルを学ぶと脳が変わる」
ということです。成人した脳も神経が日々再構築される変化が起きています。
この変化を神経可塑性(かそせい=変化しうる可能性)といいます。
私たちが日々感じる感情も、口から出る言葉も、活動の大元になる行動もすべて脳の神経の電気信号の伝達の結果です。強く大きく伝達信号が通る場所に記憶が刻まれます。
それはまず、脳が発達し、育っていく段階に新鮮な体験をしたことが記憶になります。また老化や障害を受けたときの消失した神経が再体験を繰り返すことで迂回回路を生み出して回復補填されるときに記憶になります。さらに、学習や能力が向上するときに記憶が生まれます。
この記憶のメカニズムには3つの鍵があります。
1. 化学的変化(意識が必要)
ニューロンからドーパミンという化学物質が出ることでニューロンが一時的につながります。
できたけれども、その手ごたえがなくなって出来なくなることが多いのは、意識下の行動で起こる変化記憶だからなのです。意識する=確認する=注意するという一連の動きの中に化学反応を起こす場所と注意する場所と空間を認識する場所が瞬間だけ刻まれます。
2. 構造的変化(時間が必要)
化学的変化でつながったニューロンが、「つながる範囲」や「つながる量」を増やすことで物理的に脳の構造が変わる変化記憶をいいます。この段階に来ると習慣化された記憶になりつつあります。この変化に必要なのは、ニューロンが電気信号を「送る範囲を広げ」「送る量を増やす」ための化学物質の濃度やニューロンの原料となるたんぱく質の生成時間が必要になります。
難易度が上がるたびに多くの学びが起こります。
3. 機能的変化(飽きない工夫が必要)
構造的な変化が起きた場所は、つながっている量も範囲も大きく、電気信号が伝達されるための化学物質の濃度も濃いので信号が出やすくどんどん使いやすくなります。そのためには繰り返すことが重要です。
記憶された中にはあまり使わないニューロンも出てきます。使わなくても、その回路を維持するためにはエネルギーがかかります。不要なニューロンまで抱えて維持しようとすれば脳には大変なエネルギー負荷がかかってしまいますから、脳は負荷をかけず、なおかつ情報を効率的に届けようとします。
そこで起きるのが、いらないシナプスの削除です。これを「刈り込み」と言って、新しい記憶がつくられる一方で、いらない記憶は刈り込まれるという大胆な更新が脳の中では日々行われています。
脳は絶えず変化しているのです。
つまり、してもしなくても構造的変化や機能的変化に影響します。
化学物質の反応で瞬間的につながっただけの刹那的な記憶では意味がないのです。
やらなければやらなかった脳になり、やればやった脳になっていくのです。
それほど脳は日々柔軟に変化しているのです。
自然治癒力を高めるために、脳を活性化すること。
ニューロンを増やすには繰り返し意識して動くことです。
「認知症」
認知症の原因が、「LPS」という悪玉菌の構成成分や、「アミロイドβ」という脳神経の老廃物です。
※LPSとは、リポ多糖( Lipopolysaccharideの頭文字)といわれ、悪玉菌といわれる大腸菌やサルモネラ菌、特に歯周病菌などの悪玉菌の細胞壁外膜の構成成分です。ある種の脂質及び多糖から構成される物質で糖脂質と呼ばれるものです。悪玉菌が、積極的に放出する毒素ではなく、内毒素といわれ、細菌が死滅したときなどに細胞が融解・破壊されることで遊離し、人や動物など他の生物の細胞に作用し、いろいろな生物活性を発現するといわれています。
※通常2つに分解されるべきアミロイド前駆体タンパク質(APP)という物質が、加齢などによる代謝異常で3つに分解されると、アミロイドβが生成され、老廃物として蓄積されていきます。アミロイドβは、単体だと悪さをしませんが、二つ以上つながって「オリゴマー」となると、神経細胞を傷つける有毒物質となります。アミロイドβが大脳皮質などの神経細胞の周囲に沈着すると「老人斑(アミロイド斑)」が増えていきます。この蓄積によって脳神経細胞が傷ついていきます。
LPSやアミロイドβを排出してくれる物質が、成長ホルモンとメラトニンです。成長ホルモンは、運動することで、メラトニンは朝日を浴びることで生まれるセロトニンから作られます。
セロトニンは、トリプトファン(豆腐、納豆、みそ、しょうゆ)を原材料にします。