呼吸は、隅々の細胞に酸素を送り届け不要になったものを受け取るという「循環」のメカニズムです。
酸素はミトコンドリア内のエネルギーを作り出す過程でエネルギー合成酵素を「酸化」させるためと、侵入してきた細菌やウィルスを活性酸素になって「強酸化」で死滅させるために必要です。エネルギーは水素がイオン化してその電子がミトコンドリア内で蓄電されて生まれます。その水素が、酸素と反応して水になりエネルギー循環が生まれます。柔軟な細胞骨格は炭素で構成されていますから水に溶けやすい二酸化炭素にして余分な炭素を排出します。
呼吸には口呼吸と鼻呼吸があります。
口呼吸、これは話すというたえず口から空気を出し入れし、声帯を振るわせる必要があるために息を口でしながら行う機能です。また、集中する行為、たとえばパソコン・テレビ・本・携帯電話など交感神経が高まりすぎると脇の筋肉が緊張し鼻が詰まりやすくなって、息を口で行ってしまいます。さらには、アレルギー体質・風邪体質の方は絶えず鼻が詰まっているので息を口で行ってしまいます。また、口呼吸で鼻の粘膜そのものが使われなくなって委縮しているかもしれません。
口呼吸の難点は、口の中が乾燥しやすく雑菌が侵入しやすいことです。唇が乾燥して荒れやすい人、リップクリームが手放せない人は口呼吸になっている可能性が高いです。タバコを吸う人は強制的に口呼吸になっています。
口呼吸によって口腔内に菌が繁殖し、直接扁桃腺を刺激するあるいは、口腔粘膜から侵入した菌が血液に乗って脾臓や胸腺などの内分泌腺を刺激して免疫が下がり、アレルギーなどの粘膜炎症を起こしやすくしています。
また、口呼吸の難点に記憶力に関する問題が挙げられます。私たちは記憶を五感で行います。たえず口呼吸になることで、空気は無味ですから味覚は記憶に残りません。そして嗅覚によるアンカリングが低下します。記憶力を上げるために嗅覚も利用するほうが楽です。
鼻呼吸、これは鼻から空気を出し入れし、粘膜で空気を温め、微細な線毛と粘膜層がハウスダストや細菌やウィルスなどをキャッチして異物を取り除く鼻で息をする機能です。また、鼻腔内の温度は高く空気は温められて呼吸器官にやさしいです。
鼻で呼吸することで、「加湿された空気」「清浄された空気」「暖められた空気」が肺などの呼吸器官への感染症のリスク、口腔内の雑菌の繁殖のリスク、しいては免疫力低下を軽減させます。
さらには、鼻呼吸することで嗅覚が絶えず働きますから記憶に関する情報が増えて、口呼吸に比べ記憶しやすくなります。
鼻がつまっていない場合、鼻呼吸に戻るように「瞑想」や「口周りの運動」を試します。
鼻がつまっている場合、鼻に「蒸気」をあてる、鼻を「蒸しタオル」で温めることで解消できることがあります。慢性的な鼻づまりには交感神経が関係している場合があります。このとき鼻腔内がうっ血して鼻腔が狭くなっているので、交感神経をさらに刺激して自律神経の揺り戻しからうっ血を解消するやり方です。やり方は「わきの下を10秒間圧迫する」です。タオルを丸めて脇に挟み圧迫することで血管を収縮させ鼻腔内の腫れを解消します。
福岡市のみらいクリニックの今井一彰先生が、口呼吸がもたらす弊害について口腔内雑菌の繁殖によって引き起こされる免疫異常を説明されています。「あいうべ体操」も試してください。