20億年前、私達は無酸素で生きる原核細胞と有酸素で生きるプリオバクテリア(のちのミトコンドリア)の合体で生き延びる進化をしました。私たちは有毒な酸素を取り込み、そこから少しづつ放出される活性酸素で、酸素焼け(酸化)して、老化して死に至ります。
しかし、生まれてから、ただ老化して死んでしまったならば、子孫を残せませんから、そこで成熟したオスのY染色体はミトコンドリアの殆どない精子という解糖系生命体を作り、成熟したメスのX染色体はミトコンドリアだらけの成熟卵子を作ることで、20億年前の解糖系とミトコンドリア系の共生を再現しなおします。
つまり、遺伝子レベルで、生き延びるために「一から進化をやり直す」のが生殖なのです。
ミトコンドリアには酸素が必要ですが、酸素は猛毒であることを知っていますか?
原子核が電子を引き寄せる力の強さを表す数値のことを電気陰性度といいます。
電気陰性度が大きい原子ほど、原子核が電子を強く引き寄せる性質を持っていることになります。
これらの反応性が高い物質は体内に侵入すると、体内の各部と無差別に反応し機能不全を引き起こし「毒」となります。
塩素 Cl の持つ電気陰性度は「3.1」であり、最強の猛毒と言われている「フッ素 F 」はその値が「4.0」です。(単体の気体はガラスを溶かし、とても硬いプラチナすら腐食します)
フッ素の持つ4.0という酸化力は全ての気体の中でも最強であり、電気陰性度は「3」を超えれば十分に「猛毒」と考えて差し支えないでしょう。
この「電気陰性度」というのは物質の「酸化力」を表す指標であり、この数値が高ければ高い程、その物質は有毒と言われています。酸化力が高い、というのはつまり反応性が高いということです。有毒ガスのイメージが強い硫黄 S や 塩素 Cl よりも酸素の酸化力は高いのです。
動物はミトコンドリアを細胞内に持つことによって、酸素を消費し、エネルギーに変換する進化を遂げました。私たちにとって全く無害のような顔をしている酸素ですが、実は許容量以上に取り込むと中毒症状を起こしてしまいます。これは一般に「酸素中毒」と呼ばれ、スキューバダイビングで有名な症例です。
厳密に言えば、酸素のもつ高い反応性を逆手にとり、ミトコンドリアを利用して、水を水素分解することで、水素イオンの濃度勾配を利用して、その溢れるエネルギーを生命活動に応用することで、酸素の吸入を可能としています。
しかし、これはもちろん生命活動上では諸刃の刃でもあり、酸素によって引き起こされる健康障害は実は知らないだけでたくさんあります。
激しい運動直後の苦しさや、ガンや心筋梗塞、脳梗塞・過呼吸や酸素中毒、老化、酸化、酸敗(腐敗)などこれらの健康障害は結局の原因が酸素にも一因があるとされています。
酸素とは安全無害なようでいて、実は非常に危険な物質でもあるのです。
細胞を蛍光色素で染色すると、ミトコンドリアの数を数えることができます。
1細胞当たりのミトコンドリア数は、赤筋や心筋で約5000個、卵子で約10万個です。
逆に、精子には約100個しかありません。
赤筋や心筋
(赤い部分約5000個)
卵子
(赤い部分約10万個)
精子
(尾の部分約100個)
精子の先体には、ミトコンドリアは存在しません。
ですから受精卵となったとき、卵子内の(母親の)ミトコンドリアが必ず遺伝します。