エネルギーには陰のエネルギーと陽のエネルギーが存在しますが、それは別々には存在しません。
陰は下降し、陽は上昇します。
それはまるで呼吸のようです。
陰は休息に、陽は活動に根ざします。
それはまるでまぶたの瞬きのようです。
陰は構造で、陽は機能です。
それはまるで、人体のようです。
陰は水に生まれ、陽は火に生じます。
それはまるで、家の水道とコンロのようです。
生きるということは死があるということであり、熱いということは冷たいがあるということです。苦しいがあるということは、楽しいがあるということです。光があると同時に影もあるということです。
健康であるということは、病気になるということです。
元の氣があるということは、今の氣もあるということです。
光だけあれば木が育つと思っているでしょうが、影がなければ木は育ちません。水が蒸発してしまうからです。
ある現象が起きるということは、その相反する現象も存在するということです。コインの裏表のようにこの世に存在するということは、切っても切り離せない関係なのです。コインの裏でも表でもない淵の部分、ここを比和と言います。
比和とは、同じ氣が重なった状態です。
氣(エネルギー)の状態には、相生・相剋・比和があります。
相生とは、互いを活かし、過剰になりやすい状態です。
相剋とは、互いが対立して偏る、打ち消しあう状態です。
比和は、自分と陰なら陰どうし陽なら陽どうしで、性質も火と日というように同じ状態になっている状態を指します。
極まっている状態というか、自分を映す鏡のような状態でもあります。
同じ立場、同じグループで同じ気持ちになることです。
呼吸で言えば、意識していない呼吸のような状態です。
ですから、自然と同調しているような、傍観しているような、溶け込んでいる状態です。
ただ極まった状態ですから、大事に至ることもあれば、安定し続ける場合もあります。
「木」
自由に拡張するエネルギーの比和
木(もく)とは、木々が重なり合う生茂った森『繁栄』を表します。木漏れ日がある森は癒しを与えてくれますが、増え過ぎ生い茂った木々は光を奪い栄養を奪い枯渇させる恐ろしさもあります。
◆肝臓(陽)/胆のう(陰)
◆プライド・緊張・イライラ・臆病・優柔不断・不注意・怒り・責任・恨み
「火」
成り行きに任せるエネルギーの比和
火(か)とは、秋の原野で収穫の後の野火焚き『脱却、浄化』が、あちらこちらで行なわれている状態を表します。集合して大火になれば、山火事を起こす恐ろしさもあれば、野火としての情緒も持っています。
◆心臓心包(陽)/小腸三焦(陰)
◆喜び・愛・憎しみ・隠し事・リズム・神経質・混乱・不安定・自己犠牲
「土」
変えたり維持したりするエネルギーの比和
土(ど)とは、山と山が重なり合う『平均化、困難』状態を表します。山脈となり、アルプスとなれば雄大で荘厳になります。大草原が地平線の彼方まで広がっている状態も比和になります。街と街、国と国が連なる様子も、大地ということから考えれば、土性の比和関係になります。あまりにも土ばかりになると、水ハケが悪くなります。
◆脾臓(陽)/胃(陰)
◆有益な有害な環境・共感・同情・依存・うつ・不安・自己防衛・憎しみ・疲れ
「金」
秩序を与えるエネルギーの比和
金(ごん)とは、宝石箱から取り出された宝石類『採用、吸収』です。それぞれが素晴らしい輝きや光沢を見せていて、それが王冠などにちりばめられれば、見事な豪華さを見せます。数多く並べられた食器類、それらが金属製、陶器製の何れであっても、金の比和状態になります。あれもこれもと手をつけると気が散ります。
◆肺(陽)/大腸(陰)
◆褒める・話す・思い込み・深い悲しみ・罪悪感・後悔・ネガティブ・悲観・失望・放棄・無視
「水」
併せる、根本・枠を壊すエネルギーの比和
水(すい)とは、海と川、雨と海、小海と大海の如く自然を作る雄大な大海原『開始、旅立ち』を表します。しかし、自然の状態ばかりでは無く二つのコップに入れられた水も、比和の状態です。水性は形を持たないから形に入れられても、入れられなくても安定してそこに存在します。ただ水が集まった時、暴走して土を押し流す恐れもあります。
◆腎臓(陽)/膀胱(陰)
◆精一杯・プレッシャー・踏み外す・恐怖・不安・焦燥感・うつ・気弱・批判・欲求不満・完璧主義
バランスという調和が乱れるのは、偏るから。
春のない四季、冬のない四季のようです。
陰のエネルギーが平穏で、陽のエネルギーが濃密であってはじめてエネルギーは循環します。光だけでは枯れてしまいますし、成長しません。きれいな感情や環境だけでは育たないのです。影があってはじめて育つことができるのです。汚い部分、きれいごとではない欲が欠けていては成長することができないのです。
バランスを保つコツは、自然の移り変わりに合わせて生活のリズムを合わせることです。
旬の食べ物を取り入れるように食べ、感情や思考という情報を貯めないように会話をし、活動で疲れた神経や脳を休めるために睡眠をとり、呼吸を整え水分を取り、太陽の光・月や星の光を浴びることです。