生理現象とは循環
私たちが生きていくうえで、生理という大事な機能があります。
生理とは、生命を維持するために起きる「基本」的な現象です。
主なものに消化吸収と解毒排泄がありますが、その中でも動く動作(運動)と密接に関わっているのが血の巡りと空氣の巡りという生理現象です。
血の巡りとは、血液の循環。血液の循環が低下すると、まず体温が低下します。特に手足といった心臓から遠い場所が冷えてきます。さらには細胞へ栄養が届かず、細胞が出す不要なものも受け取れないので、毒が溜まりやすい元氣のないカラダになっていきます。
空氣の巡りとは、酸素と二酸化炭素(ガス)の循環。空気の循環が低下すると、まず氣力や思考が低下します。さらには細胞へ酸素が届かず、細胞が出す二酸化炭素も受け取れないので、体内phが酸性へ傾き疲れやすいカラダになります。
加齢とともに循環が低下すると元氣がない疲れやすいカラダになっていくのです。
この循環と密接な関係があるのが運動です。
寝たきりの方のほとんどは、骨密度が低く、筋力も低下しているというデータがあります。
1990年代に宇宙に行った向井千秋さん(70)は、医師の視点から宇宙空間で起きる生理現象について著書「宇宙飛行士は早く老ける?」の中で語っています。重力のない宇宙空間での活動は筋力骨密度の低下を招き、重力のある地上でも健康な人を寝たきりにして行った実験では同じ結果になるそうです。
循環と重力バランス
運動、特にバランス運動は動かした部位の感覚を呼び覚まし、ズレてしまった重力バランスを再記憶します。
重力バランスは全身の循環と強い因果関係があります。
重力バランスが取れていれば、無理な体勢でも無駄に力まずに筋肉が程よく動かせて、動作の中で血の循環が効率よく維持されます。血が巡るということは、心臓が無理をしないので疲れにくい、体温が維持されるということです。
また重量バランスが取れていれば、無理な体勢でも動作の中で息が楽にできます。つまり酸素と二酸化炭素のガス交換が効率よく維持されます。氣(空気)が巡るということは、呼吸で無理をしないので意識がしっかりする、酸素濃度が維持されるということです。さらにはこの楽な呼吸が続けられると飲み込む力(嚥下)も維持されます。つまり食欲、消化も維持されるということです。
体温、酸素濃度、嚥下、食欲を維持をするということは環境の変化に応じて循環も変化させ生理機能を維持するということです。
血の巡り、氣の巡りは頭部への循環も改善させ、目、耳、歯茎の機能を回復し、若さを保つことにも繋がります。また重力バランスを発揮する程よい運動は、脳機能を働かせ使うことで、適度な疲労感を生み出し、質の良い睡眠を促します。十分な睡眠は活動中の修復を促しカラダの機能を若返らせます。
重力バランスがズレる理由
スマホやパソコンの長時間の使用、イスやソファーに座り続ける、長時間の運転や作業といった同じ姿勢をし続けることに原因があります。
同じ姿勢を長時間し続けると、その姿勢を保つための筋肉を酷使し、その筋肉は固まります。
筋肉は連動する(他の部分も意識することなく動く)ことで全身の動きを作りますから、酷使され動きが悪くなった筋肉の働きを別の筋肉が代行して、目的を果たそうと働き続けるので、本来の動きとは違う動きの中で重力バランスが再記憶されていくのです。
極端な話をすれば、寝たきりの人の重力バランスは寝ている生活を中心に発揮されて再記憶されていきます。一日の中で座り続けている人の重力バランスは座っている生活を中心に発揮されて再記憶されていきます。つまり、移動に使う歩く、あるいは足元が不安定なときに使う重心移動の記憶は弱くなっていきますから、ちょっとした段差で躓いたり、足場が悪い体勢では十分に重心が移動できずに息むので、少し歩いただけでふらついたり息が上がったりするのです。
運動不足の方は、日常生活の移動そのものがストレスになりやすく、無意識にストレスが起きない範囲で、動きを制限して行動していることがあります。これ以上動かすと痛い、転ぶかもといった不安になる記憶の中で行動するからです。そして重心バランスがどんどん小さくズレていき、循環機能が低下していきます。
「古くなった」ものを「新しくする」
私たちは生まれてすぐ、歩けませんし言葉を話すこともできません。
毎日繰り返す「練習」といった体験の連続から歩けるようになり、会話できるようになるのです。その内容は年齢とともに変化し続けます。ですので今の年齢に応じた練習をする必要があります。
古いままの重心バランスではいつかは上手く対応できなくなります。日々新たに重心バランスを再記憶させていくこと、繰り返すことが必要です。
運動をしていても上手くいかないのは応用ばかり繰り返しているからです。
繰り返すのは基本。重心バランスの基礎を反復練習します。基礎を身につけ直すことで、今の自分の重心バランスとして新しい自分になります。
私たちは生まれて、この世界の外氣を吸い込み、内側に閉じていた循環を外側とも循環させ生命を巡らせます。首が座り、寝返りをし、這って動く、這い這い、つかまり立ち、伝い歩き、独歩、駆け出す、跳ぶ、ケンケン、スキップの順番に重心バランスも発達していくのです。
人はこれらの動きを反射という動きの中で発揮します。自然と使えていないのは、反射とカラダの動きがそろっていないからです。
基礎トレーニングのすすめ
以上、重心バランスとカラダの循環は密接につながっていて、運動不足、特にバランス運動の不足が循環力を低下させていることをお伝えしました。
循環力を高める重心バランス基礎トレーニングとして
- 原始反射エクササイズ
- ホールブレイン エクササイズ
- パワープレートを使った重心バランスメソッド
があります。
循環力をたかめることは運動不足の解消、転倒やケガの予防、アンチエイジングや美容、体力の向上につながります。