新型コロナウイルスに感染した患者の足の指。
「しもやけ」のように赤くなっています。
ウイルスが血液や血管に異常を引き起こしていると見られる症状です。
フアン医師によれば、明確な原因はわかっていないものの、ウイルスによる血管内の損傷などが考えられるといいます。
サイトカインは主に免疫細胞(白血球)などが分泌する小さなたんぱく質。
リンパ球系のB細胞やT細胞、単球系のマクロファージやマスト細胞といった免疫細胞が協力して外敵をやっつける免疫機能の他に細胞増殖機能、分化機能、抑制作用機能も併せ持ちお互いの連絡に使うメッセージ物質で、体内に800種類あるそうです。写真のサイトカインの作用として炎症が考えられます。
上の図を見てもらうと分かるように、修復や治癒、新たな細胞の生産促進などにもサイトカインが作用しています。つまり、治る時には必ず赤くなって腫れて痛くなって治るということです。
通常、免疫細胞が織りなす免疫システムは、ウィルスが細胞内に侵入すると、その細胞がサイトカイン(TNFαやインターロイキン6)を産生して放出します。これをキャッチした免疫細胞のマクロファージや樹状細胞が、ケモカインなどのサイトカインを放出して、T細胞を呼び寄せます。
患部に到着したT細胞はインターロイキンやリンフォカインなどのサイトカインを出して、B細胞を活性化し、活性化されたB細胞は抗体をどんどん作り、その抗体が病原体を殺したり、毒素を中和したりします。
炎症時に細胞表面を保護するバリアの働きをするACE受容体というレセプターが細胞膜上にあります。炎症を起こすと作られるレセプターです。もう一つの役割は血圧を上げるという機能があります。なぜ血圧を上げるのかというと血糖による炎症を抑えるために、腎臓にナトリウムの再吸収を促し水分を貯留することで血糖値を下げようとするメカニズムなのです。
アンジオテンシンⅠを、血圧を上げるホルモンの一種アンジオテンシンⅡに作り替えるのがACE。
逆にアンジオテンシンⅡを、血圧を下げるアンジオテンシン1-7に分解するのがACE2。
主に肺の毛細血管の内皮細胞の表面に顔を出しています。
血管を広げ上がった血圧を下げるスイッチのような役割を果たしているのですが、このACE2受容体がウイルスに乗っ取られてしまうのです。
そうするとアンジオテンシンⅡが分解されずに余剰在庫として増えてしまいます。どんどん増えるサイトカインに呼ばれて免疫細胞もどんどん集まってくるので肺胞の炎症も加速度的にひどくなるだけでなく、高血圧になります。これが風邪や呼吸器疾患などの炎症が重症化するメカニズムです。これをサイトカインストームと呼びます。
血圧が上がる理由に、ナトリウムが水分と結びつきやすいため血液量が増えるというのがあります。「塩分過多が引き金となり、腎臓でナトリウムが再吸収されることで、高血圧になる」方を食塩感受性タイプといいます。でも塩分の影響を受けにくい方でも高血圧になります。これを食塩非感受性タイプ、またはアンジオテンシンⅡ依存型高血圧と呼びます。
アンジオテンシンⅡは、強力な血管収縮作用をもつ物質で、腎臓などで産生され、細胞内に取り込まれます。高血糖や高脂質で超巨大化肥大化し過ぎた細胞ががん細胞になりやすいため、普段は細菌やウィルスを捕食している単球が血管外へ遊走すると活性化されてマクロファージとなることで高血糖による細胞の栄養過多が起きないようインスリン抵抗性のための腫瘍壊死因子として知られるTNFαを分泌します。これはがん細胞が増殖しないようにエサとなる血糖をやらないようにインシュリンの働きを抑える作用もあるため、高血圧と糖尿がセットになるケースが多いのはこのためです。血圧が高めの方は下げるための生体反応が起き、ACE2受容体が増えていきます。
また、呼吸器疾患のある人、健康な人でも喫煙習慣のある人はACE2受容体の発現リスクが増します。
血管の損傷の原因にコレステロールや中性脂肪値の異常による「高脂血症」という血液異常(血流低下=血液ドロドロ)があります。脂肪を過度に摂取したり、過酸化脂質の多い加工食品を食べ過ぎると高脂血症にかかりやすくなりますが、そういう意味では食生活と密接な関係にあるといえます。また乗り物で長時間座るなど、同じ姿勢を取り続ける運動不足で血流が低下しますから、一時間おきに立って歩くなど運動することで血流だけでなく血栓症の改善に役立ちます。
さらに、腸内の細菌が排出した内毒素の生成により、血液凝集を促進する酵素・トロンビンが活性化することも原因に挙がります。内毒素は腸から門脈を通して肝臓に運ばれると、処理されるのですが、肝炎や肝硬変、または過度の飲酒による肝機能障害が見られるとその能力が低下し、やがて腸内毒素が血中に入り込んで赤血球異常(血流低下=血液ドロドロ)を起こすことになります。さらにコレステロールの中でもLDL、いわゆる悪玉コレステロールが活性酸素の影響を受けて発生する「酸化LDL」が血栓形成の大きな誘因になるとされており、活性酸素を誘発する喫煙習慣も血液異常(血流低下=血液ドロドロ)の引き金になります。
簡単に言うと過食、過飲、ストレスにタバコといった生活習慣病を招く好ましくない要因が大きく影響しています。
普通の健康な人ではほとんど発現しないそうなので、持病を持つ人が解毒のため風邪などの炎症型排出システムが機能すると重症化しやすいというのはこの点も関係しているのかもしれません。ですから、血管が収縮し冷えることで末端に栄養が行き届くことができるようにさらに血圧をあげるという持病(生活習慣)から抜け出すために、まずは水を飲み身体を温めることが大切です。そして暴飲暴食を避け適度な運動をこころがけましょう。これがほとんどの人がやらないシンプルでお金のかからない免疫アップの方法です。