無いもの、不足しているものに意識を向けるのではなく、すでにあるものや足りているものに意識を向けると治癒力が取り戻せるはずです。
※陰陽五行では、脾は憂いです。憎しみと悲しみで自責の念、悲しみと驚きで非難という感情になりますが、その両方に共通する「執着」という感情になるのは、私の経験からこういう方が多く見受けられるからです。ご了承ください。
①分解する
ひ臓は、
◆古い赤血液を破壊し、細菌やウィルスを攻撃します。
赤血球にも寿命があり段々と柔軟性を失い本来の働きができなくなります。その時、破壊処理を行い、鉄分を回収し、分解されてできたビリルビンを胆のうへ送ります。(※時として大量出血や骨髄造血が低下すると骨外造血として機能します。)
また、体の中には様々な異物(ホコリや粉じん)や病原菌やウィルスが侵入して来ます。脾臓には体の4分の1程のリンパ球が集まっていると言われており、侵入してきた異物や菌などを処理する体を守る免疫器官として働きます。(※肺炎球菌・髄膜炎菌・インフルエンザウィルスを防御する働きがあります。)
すい臓は、
◆血糖値を下げます。
ベータ細胞といわれる部分が、インスリンなどの内分泌ホルモンを分泌し、血中のグルコースを取り込ませることによって血糖値を下げる重要な役割があります。
膵臓がダメージを受けたり、疲弊してインスリンの分泌が低下したりすると、血糖値が上昇し、糖尿病を招くことはよく知られています。
②吸収する
ひ臓は、
▼血小板を貯蔵します。
出血した際に、血液の凝固が起こり止血しますが、その際重要な成分が血小板です。脾臓には体内の血小板の約3分の1が蓄えられていると言われており、必要な時に放出されます。
すい臓は、
▼糖や脂肪の貯蔵、腎臓でのナトリウム再吸収を促します。
アルファ細胞といわれる部分が、外分泌ホルモンを分泌し、筋肉におけるアミノ酸やカリウムの取り込み促進とたんぱく質合成の促進、肝臓におけるグルカゴンという糖化の抑制、グリコーゲンの合成促進・分解抑制、脂肪組織における糖の取り込みと利用促進、脂肪の合成促進・分解抑制などの作用により血糖を抑制し、グリコーゲンや脂肪などの貯蔵を促進します。また、腎臓の尿細管におけるナトリウム再吸収促進も行ないます。これらは、結果的に血糖値を一定濃度にコントロールする働きです。
例えば、もともと炭素数6つの明確な化学構造をもっていた物質が、化学エネルギーという形のない形態に変換されるのです。タンパク質や脂質も、からだの構成成分となるというそれぞれの役割が終わると、アミノ基が外されて、解糖系とTCA回路でグルコースと同じように異化されます。そしてその過程で、生命維持に必須のエネルギーを得るのです。これが、生命にとっての「利用」です。
一方、近年話題の機能性成分はどうでしょう。「食品に含まれていたときの化学形態のままで体内に取り込まれるから効く」と考えられているのではないでしょうか?
もし、「食べたときの化学形態のままからだに取り込まれれば」、それは生命にとっては大変危険な状況です。体内酵素が認識できない、代謝できない物質が、体内を循環すれば、体内物質に無作為に作用して、生命維持にもっとも大切な「恒常性」を崩します。
③伸び広がる
すい臓は、すい管と胆管が十二指腸と繋がり、胃から出てきた食べ物と混ざることで糖脂肪の消化・吸収に働きます。ひ臓は、リンパ管や血管で小腸と繋がり、腸内から吸収される食べ物と一緒に侵入してくる細菌やウィルスを小腸の絨毛(じゅうもう)突起のない穴(M細胞)で抗体を作って排除します。
繋がっていることで、ひ臓とすい臓だけでなく、肝臓、十二指腸、小腸が相関して不調が起こる場合があります。
※抗原:「悪玉菌」や「化学物質」・「添加物」
腸粘膜で堰きとめて働くIgA抗体とIgM抗体(下痢や便秘)
・IgA抗体:唾液や腸内粘膜で抗原を除去する(半減期は6日)
・IgM抗体:抗原が入ったときに最も早く出現して抗原を腸内で除去する(半減期は5日)
腸粘膜から侵入した血管で働くIgE抗体とIgM抗体(アレルギー)
・IgE 抗体:血液で全身に回り、皮膚や気道や関節で抗原を除去する(寄生虫に作用する特徴がある)。糖を過剰に摂取すると、肥満細胞に結合してⅠ型アレルギーの原因であるヒスタミンを排出する(半減期は3日)
・IgG抗体:血液中に最も多い抗体、唯一胎盤を通過でき、生後1週間まで新生児を守っています(半減期は23日)。
①~③のことから、陰陽五行において、「人間でないものを変容させ、人間に合うものに再構成して隙間を埋めて平たくし、人間を養う」土のエネルギーが当てはまります。土のエネルギーは、「変容したり」「維持する」エネルギーです。
①~③のことから、アーユルヴェーダにおいて、「柔らかさ、粘り気、湿気、重さ、鈍さといった」カパ(土と水)のエネルギーが増えた状態です。カパは欲深さ、出し惜しみ、倦怠感を表します。
ひ臓は、甘えん坊で優柔不断な人、楽なことが好きで厳しい状況からはすぐ逃げてしまう人、面倒くさがりで怠け癖のある人、あるいは保身や自己防御力が強く取り越し苦労の多い人、少しでもお腹がすくと我慢できずに食べてしまう人、そのくせ言い訳ばかりする人に共鳴する臓器です。この共鳴が、長く続くとゆっくり間延びしていくことで何事も区切りがなくなるので、感覚が麻痺し、どうでも良かったことにまで意識がいき、羨む感情が湧き上がります。度が過ぎると嫉妬のような「重く粘着質」な性質が表に出てきます。
その許せないという嫉妬感は、他人を受け入れ、聞き上手で思いやりからくる「信頼」や「関心」という日常的な気持ちだったものが、思い通りに行かない裏切られた気持ちにすり替わったときに、その善意な気持ちから軽蔑そして「嫌悪」に転じてしまいます。
そう思ったことを後悔し許せなくなると「執着」へと変わり、ひ臓が活性化しすぎて、炎症を起こします。さらに執着が振り切れると自暴自棄になります。
本来カパが多い人が、食べ過ぎ、感情に任せた飲食、運動不足、物質的利益の重視によって、悪化すると言われています。また、現実から目をそらし、過去に目を向け過ぎているとカパは増大する可能性があります。
ひ臓
門脈という血管の途中にリンパ節が奇形化してペースト状に進化した臓器です。ひ臓に進化出来たことで、自発的にリンパ球という体液を循環できるようになり、消化管で効率よく異物を捕らえることができるようになりました。ひ臓に共鳴する執着がひ臓を必要以上に活性化させ疲弊させます。
すい臓
腸管である十二指腸の一部にあった分泌細胞が発育、癒合して進化した臓器です。すい臓に進化できたことで糖を消化する分泌細胞でいろいろな物質からも糖類やアミノ酸を効率的に吸収消化できるようになりました。
肝臓が働いて糖を作ると、まず糖がすい臓を刺激して、インシュリンが分泌されます。と同時刻からに20分後に、視床下部にある満腹中枢(副交感神経)を刺激します。20分以内の過剰摂取は、すい臓のインシュリン必要量を越えて糖を作るので、すい臓は、疲弊しやすくなります。その結果、インスリンの分泌量が減少したり、分泌されても十分に機能しなくなったりなどの問題が生じて、やがて血糖値をコントロールできなくなります。
視床下部と脳下垂体が同様に疲弊するので、すい臓と同じ内分泌系の甲状腺、胸腺(2つとも喉が変形して出来た内分泌腺です)も機能が低下します。
肌
肌と粘膜は、ただ内側にあるか外側にあるかだけの違いで、カラダに良いか悪いかの判別がしにくい抗原(食べ物、病原菌あるいは常在微生物、金属毒素、化学物質など)が続々と侵入してくる場所です。
侵入からカラダを守るために、本来どちらも細胞分裂が早く代謝が盛んです。
肌と粘膜は、3日ほどでアポトーシス(自然死)して、白血球(マクロファージ)に食べられます。そのためにも微小循環という最末端の体液循環を保つための水分保湿と血流を盛んにして細胞のリサイクルを行なって、異物の侵入を防ぐ必要があります。
ですから、ひ臓の働きがにぶると、肌や粘膜の代謝が低下して、浮腫む、くすむ、カサつく、ただれる、のぼせる、ニキビが出る、蕁麻疹が出ることになります。
執着は過去に対する許せない感情ですから、気にも留めなかったことが気になります。執着心が強い人は、物事に対しても、人に対しても、お金に対してもとにかく何事にもしつこいという特徴があります。他人との意見の相違があった場合にも、いつまでも自分の意見を通そうとしつこかったり、遊びやデートの誘いがしつこかったり、何かを「ちょうだい」など貰うということでも「嫌」と言われてもしつこくおねだりするような特徴があります。
また、「後悔した自分のことを許せない」感情が基になっているのが執着の感情ですから、許せない自分から逃げるために、自分を満たしたくてくれる自分以外のものに対して、執拗にこだわって、事実と異なることを思い込み、今という感覚をなくします。
実際は、その思い込みや思い違いが、多くはコミュニケーション不足から起きている可能性が高いのにも関わらず、事実を確認することなく、その結果事実から離れていくので、どんどん執着が大きくなります。
思い込まない・思い違いにならないためには、過去もそうだったから『何か』を得られないかもしれない、「損するかもしれない」という考えを捨てて、実際にしていないことまで連想してしまう今までの性格や価値観を変える必要があります。例えば、相手はまたこう言うだろうとか、自分は特別だから許されるだろうと思い込む癖や、やってないけど損するかもしれないから心にもない言動をしてしまう性格、嘘だと思っていないけど、相手に合わせて本心を言えない癖のことです。
これを「ライフスタイルを変える」といいます。
執着する感情をなくす方法
自分を許す方法
①しつこい今の自分から脱却する
「損をするかもしれない」「また相手にこう言われるかも(されるかも)」「自分の思い通りにならないかも」といった未来の自分自身に対する思い込みです。この価値観は過去の記憶や経験から見いだしたものかもしれません。しかし、ただの思い過ごしかもしれませんし、未来は決まっていないし、無関係です。
望んでもいない過去の自分をまた再現しようとしていませんか?
その時出来たはずの完璧すぎる理想の自分を再現しようとしていませんか?
もっとすごい人と比較してその人を再現しようとしていませんか?
「今日は、いつもと違う自分である」という意識を持ってみてください。昨日のような自分である必要はありませんし、決まっていません。結果は何が良くて何が悪いという事もありません。
過去ではなく今という時間に戻ってきて、「慎重になる」ことが重要です。
②変えられない過去から脱却する
「あの時こうすればよかった」など過去の事を後悔しても、変えることはできません。「嫌なことをされた」「嫌な失敗をした」と感じた気持ちは事実であり、相手に対する軽蔑や嫌悪、自分に対する軽蔑や嫌悪といった後悔です。
そんな嫌な気持ちを抱えたまま、自分や相手を許せない感情を長い間抱えていると、人生の重荷になります。一言で言うと、人のためではなく、自分のために許しましょう。
許すというのは、相手がやったことを許すのではなく、わだかまりや嫌な感情から離れることです。そんな気持ちから離れることは、自分のための行為なのです。相手は許して欲しいとは思っていないかもしれませんが、まずは自分のために許しましょう。
許す対象は、相手ではなく自分です。「ネガティブな考えを手放す」ことができれば、自分を許すことができるはずです。大切なのは、自分の気持ちに気付くことです。
ただ、自分の気持ちを外に吐き出すことが必要なのです。まずは今そういう気持ちなんだと感じて忘れるだけで良いのです。それが、今を体験するということです。さらに、行動に起こすことで記憶が書き変わり、後悔が自信に変わります。
③過去を思う未来の自分から脱却する
過去は過ぎ去ったもので、これから起こることではないと気付きましょう。過去が存在するのは、あなたの頭の中だけです。恨んでも、苦しくなるのは自分だけですし、仕返しをすれば、自分も相手と同じになります。
自分の人生に起こっている楽しいこと、自分を幸せにしてくれること、自分を傷つける人ではなく、幸せにしてくれる人に目を向けましょう。仕事がうまくいくようになったとか、新しい仲間と出会ったなどということでも構いません。ワクワクした前向きな気持ちでいるようにしましょう。たまに昔のことを思い出してしまうこともあるかもしれませんが、そのことも受け入れて、すぐに今この瞬間に自分を引き戻しましょう。
また、人を許すこと、自分を許すことは、自分のためにできる最高のことでもあります。簡単なことではないし、時間がかかることもありますが、許すことができたらとてもうれしくなります。自分を癒やすために必要であれば、あらゆる感情を手放し、重荷を降ろしましょう。これからも人生は長いのです。余計な荷物は必要ありません。
慣れた自分を捨てる勇気が必要です。そしてライフスタイルを変えることが出来れば、執着が減っていきます。
また、アーユルヴェーダのカパタイプの人が、バランスを回復させる要素は、
「直感的に表現すること」
「激しい運動を行うこと」
です。
後屈や側屈などの難しいポーズを行うと、停滞感を解消でますが、反対に、刺激的な食品や、苦味や渋みのある物を食べると、停滞感が助長されますから殊更にカパが多くなります。
乾いたブラシを使ってマッサージ(乾布マッサージ)する、陽気な音楽を聴く、昼寝をせずに早寝早起きをすることによって、カパタイプの人のバランスは回復します。
味覚の観点
ひ臓はリンパ球を循環させる機能がありますが、ひ臓が疲れるとリンパ液の巡りが遅くなり、不要になった老廃物やタンパクが溜まりやすくなり、浮腫みます。ひ臓から鉄が出やすくなり、特にすい臓や甲状腺、胸腺も疲れますから、亜鉛も出やすくなり糖に鈍くなります。
亜鉛不足で味覚が低下して、鉄不足による貧血で甘い「濃い味」を欲しがります。
免疫が下がっていて肝臓が無理をした人はコッテリした甘辛いソースのような味を欲しがりますし、おしっこの出が悪く腎臓ひ臓が無理をした人は甘しょっぱい塩気を欲しがります。風邪をひいて心臓が弱い人は焼き芋やチョコや抹茶などの甘苦味を欲しがります。風邪を引いていたり気管が弱く免疫が下がった人は、和菓子のようなさっぱりとした甘いものを欲しがります。