拒絶するのではなく、外と繋がる「はい」といえる素直な感情に意識を向けると治癒力が取り戻せるはずです。
※陰陽五行では、肺は悲しみです。脱力感、失望感、挫折感の極まった感情が、悲しみとなりやすいですが、その反対にある怒りによる事実の「拒絶」という感情から始まって、そのあと噛みしめるように事実を受け止めることで湧き上がる涙を感じる方が多いです。これは私の経験からこういう方が多く見受けられます。ご了承ください。
①純度を高める
肺は、からだの内側と外側を繋げ、外のエネルギーを取り入れ、体内の汚れたエネルギーを手放すという交換機能を持つ臓器です。
肺に取り込まれた空気は、肺胞で、酸素が赤血球のもつ鉄に取り込まれ(鉄により赤血球は赤くなります)、血液の二酸化炭素が肺胞内に捨てられ、呼吸で体外に放出します。
交換には、縮む、小さくなる、下がるという性質があります。
②支配する積極性
肺は、自身で伸・収縮する筋肉が無く、横隔膜の動きによって伸・収縮しますので、自発的に呼吸することで、外界と関わろうとする性質があります。また、横隔膜は、胸と腹を分け、腹を包み込む膜です。呼吸が浅くなると、骨盤底筋の緊張によって排便が制限されたりします。
鼻から取り込まれる空気は、鼻腔を通る間に温度が25~37℃に温められ、湿度が35~80%に加湿されます。これにより、気管と肺へ冷たく乾燥した空気が入ることを防ぎ、気管と肺の負担を減らしますから、口から取り込むことは肺へ負担になります。
③頑固
肺は、臓器の奥まで空気を取り込むため、常に大気の有毒ガスや塵、ウィルス、細菌などの感染や粘着にさらされています。そのための防御機能である免疫機能の抗原やリンパ球がのど、気管支、肺胞に張巡らされていて、しつこく排斥する性質があります。
①~③のことから、陰陽五行において、「土が固まり、純化したエネルギーの塊になる」金のエネルギーが当てはまります。金のエネルギーは、秩序を与えるエネルギーです。
①~③のことから、アーユルヴェーダにおいて、心のヴァータ(風)とは別の「新しいことにも対応できる反面、固定観念が強く完璧を求める」ヴァータ(空)のエネルギーが増えた状態です。このヴァータは乾き、冷たさを表します。
肺は、意志が強く頑固な人、ケチで強欲な人、捨てること手放すことが苦手な人、物質的なものだけでなく自分の努力以上の結果を求める人、泣き虫で物事を悪い方向に考える人、色白で見た目から病弱そうな人に共鳴する臓器です。便秘が多いのは、自分の体の中のものさえ手放したくないからです。そのため毒が出にくい人が多いです。
この共鳴が、長く続くと真面目に完璧を求めすぎるあまり、他人にも厳しくなりすぎて、思いあがってしまいます。人から注意されることを嫌うので、最初から周りに壁(固定観念)を作ってしまいますから、孤独感が湧き上がります。孤独感は、もともとは「自尊心」や「自惚れ」という自己満足だったものが、他人との価値観の格差に気づいた瞬間に、捻くれてしまい「寂しさ」に転じてしまいます。徐々に大きくなると「悲しみ」になり、肺臓が活性化しすぎて、炎症を起こします。さらに寂しさが募ると鼻の粘膜が腫れて息が苦しくなります。
本来ヴァータが多い人の中でも寒さに弱い人が寒く乾燥する時期に、日常生活の乱れ、就寝時間の遅れ、頻繁な移動、慌ただしい食事、過剰な刺激によって、悪化すると言われています。また、現実から目をそらし、将来に目を向け過ぎているとヴァータは増大する可能性があります
肺
長い時間を経て、消化管がくびれて袋状に進化した臓器です。肺に進化出来たことで、自発的に酸素と二酸化炭素を外界と内部で循環できるようになりました。肺に共鳴する寂しさが肺を必要以上に弱体化させ疲弊させます。
肺と外部を繋ぐ口腔や鼻腔は、消化器官でもあり呼吸器官でもあります。
横隔膜
寝ている間は横隔膜が脳幹の神経刺激によって、半自動で肺を動かします。低酸素時代が長く続いた遥か大昔に、酸素と餌を求め陸に上がった両生類の手足、特に肩の筋肉から分かれて進化した臓器です。横隔膜に進化できたことで自発的に意識する2通りの呼吸法を得ることが出来ました。
この横隔膜を使った複式呼吸を行い、呼吸効率を改善することで高い恒温性を生み出すことができる哺乳類になったのです。横隔膜は、腿を上げる腸腰筋と合わせてL1~3(腰椎1~3番)が起始となっていて、緊張したり、不安になったり、驚いたりすると反射的に反応する場所でもあります。この時に、内臓を守るように前屈みになります。これが防御姿勢です。
肺で処理しきれなくなった寂しさの感情は、横隔膜を硬くさせ、呼吸機能も姿勢機能も排便機能さえも低下させます。
甲状腺
エラが咽頭になり、咽頭が扁桃腺や胸腺や甲状腺に進化しました。甲状腺に進化できたことで、体の発育を促進し、新陳代謝を盛んにする甲状腺ホルモンを分泌します。つまり、活動するために必要なエネルギーを作り、快適な生活を送るためになくてはならないホルモンを作り出す臓器です。胃腸の活性化、脳の活性化、新陳代謝の活性化も行います。
鎖骨下動脈、頸動脈が甲状腺への栄養補給血管なので、首肩が硬くなると機能が低下しますし、呼吸が乱れても機能が低下します。呼吸のメイン骨格は、肋骨と肩甲骨と鎖骨です。
感情から呼吸が乱れ、股関節と肋骨が硬くなると、肩甲骨と鎖骨の可動域が低下して、甲状腺の機能が低下します。
寂しさは繋がりが途絶えた感情ですから、物理的には賑やかで人と一緒にいても精神的に孤独感を感じます。孤独感が強い人は、物事に対しても、人に対しても、社会に対してもとにかく何事にも繋がれないという共通点があります。ありままの自分をさらけ出しても安心して受け入れてもらえないと思ってしまうことです。寂しいという感情は、表現するのに恥ずかしさや少し勇気がいる感情です。人から嫌われたくないあまり心を開くのが苦手だったり、深い関係を求めるあまり甘えてしまう、価値観の壁を作って会話ができない、感情が豊か過ぎてその時の感情の大きさで行動が左右されてしまう、自分を誰も気にかけてくれないマイナス思考を持つといったような特徴があります。
また、「現実を受け入れられない思込み」が基になっているのが悲しさの感情ですから、自由気ままに身を守るために、こうあって欲しいとか、勝手に思い込み心細くなって疲れて、捻くれていきます。
実際は、その思い込みや思い違いが、多くはコミュニケーション不足から起きている可能性が非常に高いのにも関わらず、事実を確認することなく、その結果事実から離れていくので、どんどん寂しく悲しくなります。
思い込まない・思い違いにならないためには、いつもそうだと決めつける前に、過去もそうだったから『何か』を得られないかもしれない、「損するかもしれない」という考えを捨てて、実際に始まってもいないことまで連想してしまう今までの性格や価値観を変える必要があります。例えば、相手はまたこう言うだろうとか、自分のほうが勝っていると思い込む癖や、面倒くさいから言葉にせず行動だけをしてしまう性格、変わらないからとふて腐れて捻くれて、相手に合わせられない癖のことです。
これを「ライフスタイルを変える」といいます。
寂しい感情をなくす方法
自分の妄想を手放す方法
①今の自分から脱却する
「済んでしまったことをいつまでも後悔する」「私は悪くないとずっと考える」「また同じ繰り返しで辟易してしまう」といった囚われた感情は、今の自分の価値観に対する思い込みです。この価値観は過去の記憶や経験から見いだしたものかもしれません。済んだものは変えられませんし、悪いと思っているのはあなただけかもしれませんし、繰り返す未来はまだ起こっていませんし、過去がこうだったから未来も同じであるということは無関係です。
今の自分から逃げ出そうとしていませんか?
「今日は、いつもと違う自分である」という意識を持ってみてください。昨日のような自分である必要はありませんし、決まっていません。結果は何が良くて何が悪いという事もありません。
過去の起きたことや未来の起きてもいないことではなく、今という時間に戻ってきて、気楽に「実験的にやってみる」ことが重要です。
②過去の過ちから脱却する
人はコントロールできないものに不安を覚えます。変えられないこと、失ったものに執着しがちです。この先はどうなるかわかりません。一事が万事塞翁が馬なのです。
変えられないことを変えようと「考える」のではなく、変えられることをとりあえず「する」ことに意識を向けましょう。失くしたものではなく、まだあるものを考えてみましょう。
未来はどうなるか誰にもわかりません。どうなるかわからないからこそ、どうなってもいいような心構えでいることが大切です。それは、自暴自棄のような投げやりな気持ちという意味ではありませんし、それがありのままの姿を見せることでもありません。こころを穏やかに、身支度を整え、誰でも迎えられるそんな環境を作ることです。
③未来の自分から脱却する
ネガティブな感情を持ち続けると、今の自分は良くなっていなければならないと考えてしまいます。その先に至ってはもっと良くなっていなければと思ってしまいます。
私がしなければならないという思い込みをやめる。
役に立たない人は不要な人という思い込みをやめる。
気遣ってもらえていないという思い込みをやめる。
何にも影響を与えていないし、受けていないから根拠のない決めつけをやめる。
自分は点である。自分だけでなく、誰もが点なのです。点と点が繋がって線になり、線と線が繋がって形になります。さらに形あるものと形あるものが繋がって空間を作るのです。
点は、無の世界。点は、安心の世界。
嫌われないように見張る必要も、裁く必要もありません。
悩んでも解決しないことが唯一変わらないことです。
慣れた自分を捨てる勇気が必要です。そしてライフスタイルを変えることが出来れば、寂しさが減っていきます。
また、アーユルヴェーダのヴァータタイプの人が、バランスを回復させる要素は、
「暖かさ」
「接地していること」
「規則正しさ」
です。
体の中でのヴァータの役割は、空氣が入る空間を確保し、その空氣が十分に動き回れるようにすることですから、空氣が多すぎたり空氣が澱んだり足りなくなると代謝が滞りやすく、便秘などになりやすくなります。空氣に潜む常在菌を循環させ免疫を高めるためにも、掃除や換氣をすることが有効だそうです。
味覚の観点
肺は酸素や二酸化炭素といったガスを循環させる機能がありますが、肺が疲れると酸素の巡りが低下して、酸欠になります。甲状腺からヨウ素が出やすくなり、腎臓や胃も疲れますから、ナトリウムも出やすくなります。
辛いとしょっぱいものを足したような「刺激のある濃い味」を欲しがります。
胃が弱く肺が無理をした人は醤油などの甘辛いものを欲しがりますし、おしっこの出が悪く腎臓と肺が無理をした人は鰻と山椒などの刺激を欲しがります。心臓が無理をした人は焦がした辛味噌などの苦味を欲しがります。風邪を引いていたり気管が無理をした人は、香辛料などの刺激を欲しがります。