人は「意識する」という言葉を使いますが、私たちが持つ「意識」とは何なのか、人はなんとなく認識はしているものの、その問いに対する答えを言葉にして表現するのは非常に困難です。
意識は、目覚めているとき、寝ているときに感じるものであり主観的な感覚です。各個人の意識感覚を客観的に他の人が感じることはできません。
生き物には意識があることは何となく理解できますが、コップや机などの物質は自発的に動かないので意識があるのかないのかは証明不可能です。ですので、生き物の進化から意識の話をしたいと思います。
微生物の世界では生き物は手当たり次第無軌道に動き回り、光に向かう以外特定の方向に動くということはなく、周囲の状況に対する意識はないといえます。臭覚、触覚が発達することで感覚器官に入ってきた刺激を使って検知し捕食します。臭覚、触覚に依存する生き物は周囲で何が起こっているのかを把握できず、どこに向かっているのかもわかりません。ただ食べ物の方向へ移動していくだけです。そう考えると原始的な意識とは、捕食する方向に自力で動いていくことではないでしょうか?
人間には「記憶する」という機能があります。記憶を思い出すことによって、中断した意識を再開することが可能です。さらに時間の感覚は意識において重要な役割を占めます。時間の感覚によって、「未来を予測すること」が可能になるからです。そして行動は反射的でなくなり、志向性が現れます。志向性とは期待や不安、恐れそのものであり、人間はだれしも、ある事柄に思いを寄せるものであり、止めどなくそっちの方向に想念が膨らんでいきます。その想念とは得てして「怨み」であったり、「嫉妬」であったり、「疑い」であったり、「負」の感情が志向性の大部分を占めます。
ここまで意識に関することをまとめると、「五感」「記憶」「時間」を通じて、結局今自分が「体験していることすべて」が「意識」なのです。体験は観察者の 捉え方に依存しますから、他の人は経験できません。そして、それらは「どう受け入れるか」「どう受け取るか」によって「どう経験するか」が変わります。経験は現実を作ります。これらはすべて 意識が作り出すものです。
意識を持つ観測者の捉え方次第で紙切れがお金以上の価値あるものになったり、頭から離れない音や調べになったり,雨の匂い、チョコレートの甘さ,ズキズキする痛み,恋人への熱烈な愛,そしてすべての感覚が死によって別れを迎えるという辛い経験になったりするのです。 つまり、意識とは目が覚めていて(覚醒していて)、興味があることに気持ちが動いていることです。意識が望むことは「五感」「記憶」「時間」を使って経験していることを確認することといえます。
それに対して無意識(潜在意識)とは、寝ている状態、まどろんでいる状態、自分で自分を確認できない状態です。そして無意識(潜在意識)が望むことは、反射の世界にあります。反射とは特定の刺激に意識されることに反応する現象を指し、いつでも起こる、すべてを吸収する、何にでも反応する、命を優先する、できる限り生き延びようとする、嫌なもの辛いことを避けるというもって生まれたものがあります。もって生まれたものを平たくいうと「自由」「快感」「愛」です。それを優先させようとする反応です。
意識と潜在意識の割合は1:9。どう見ても優先順位は潜在意識です。
自分が作り出す現実は、「自由」「快感」「愛」をもとに作られますから、私は愛されない、結婚すると自由がなくなると潜在意識で思っていると結婚しない人生が現実になります。私は受け入れられない、成功すると妬まれると潜在意識で思っていると成功しない人生が現実になります。人にかまってもらえない、休めない、健康を守らなくても大丈夫と潜在意識で思っていると健康になれない人生が現実になります。
しかも、意識する行動に無意識に反射で気づかないように制約をかけますから、筋肉に本来の動きではない弱さや向きが加わって、ケガをしたり痛みが出たりすることもあるのです。そして、「五感」「記憶」「時間」を使って「現実」を経験して確認しますから、やっぱりね変わりたくても変われないのは私のせいではないと思い込んでしまうのです。
誰かに責められてもその人だけの意見だけで自分を決めつける必要はありません。誰かが褒めなかったとしてもその人以外の人に素晴らしいと思う人もいるはずです。人によって褒める人もいれば、素晴らしいと持ってくれる人もいます。愛らしいと思ってくれる人もいるのです。ですから、心の中を支配してきた特定の「誰か」から離れていいんです。
こういった潜在意識の志向は、意識にある「記憶」の習慣から繰り返し刷り込まれた「思い込み」です。私はこんなもの。世間とはこういうもの。仕事はこういうもの。社会とはこういうもの。私はこうしなければいけないもの。幸福とはこういうもの。
「思い込み」という習慣とは居心地の良い『枠』です。
これは過去の生き方を模倣することが基本になります。この習慣を身に着けることで、安心するのです。その過去の生き方を続けることで未知の経験を拒みます。不調の原因はこころ(意識)と人生(無意識)の不一致です。思い込み(意識)と身体が感じていること(無意識)の不一致です。経験するはずの未知の行動、経験をするはずの自分自身を拒むということです。結局は過去の自分のままで生きるということです。
変わりたいのならば、慣れた『枠』を捨てて、新しい『枠』をつくる必要があります。
意識の願望を受け入れやすくするには、潜在意識の強力な「自由」「快感」「愛」のエネルギーを味方にする必要があります。それには意識の「五感」「記憶」「時間」で体験確認することを「自由」「快感」「愛」にしてしまうことです。
結婚で自由がなくなるという志向があったら、私には結婚の中で自由を選ぶ権利があると自分の望むように意識から変えることができます。私は受け入れられないという志向があったら、私には価値がある可能性もあると自分の望むように意識から変えることができます。健康を守らなくてもいいという志向があったら、私には自分を大事にしようという気持ちがあると自分が望むように意識から変えることができます。
自分に何がふさわしいと思いますか?
今の自分を受け入れてますか?