からだの細胞や組織は、使いすぎると炎症をおこして崩壊し、使わないと刺激低下をおこして衰えていき、使い方がほどよいときだけ発達していくという特性があります。
本来ストレスとは、活動のきっかけとなる起爆剤や機能発達因子であって、外部から刺激を受けたときに生じる緊張状態のことです。外部からの刺激には、天候や騒音などの環境的要因、病気や睡眠不足などの身体的要因、不安や悩みなど心理的な要因、そして人間関係がうまくいかない、仕事が忙しいなどの社会的要因があります。つまり、日常の中で起こる様々な変化=刺激がストレスです。進学や就職、結婚、出産といった出来事も変化=刺激ですから、ストレスといってもいいでしょう。
例えば、より良く生きようと思うと実際とのギャップを感じます。これもストレスです。完璧主義の人ほどこのギャップが大きくなって苦しみます。逆に「(より良く生きなくても安心できる)今のままでいいよね」と思うとギャップはなくなりますが、生き方の満足度が低くなってきますし、生き方そのものがストレスになっていきます。他人のせいにする人、失敗を経験しない困難から逃げている人ほど、ストレスがない生活習慣という生活「生命活動」そのものがストレスになって人を利用することでさらにストレスから逃げ苦しみます。
やりたくないことと実際のギャップのストレスほど生命活動を弱らせる刺激はありません。頑張らないといけない・我慢しないといけないと思っていたとしたら、それは今の自分を強く見せるための見せかけの行動ですから、無意識に弱さや抵抗を感じていることが前提にあります。なのでもし頑張ったり我慢してたりしているとしたら、やりたくないと思っているということです。
「自分を生きる」という本当にやりたいことと実際のギャップのストレスほど、よい刺激になります。やりたいことの刺激は苦にはならないのです。
ストレスや緊張に対する体内バランスをよりよく維持できるように進化した神経システムを自律神経といいます。自律神経にはドキドキするアドレナリン分泌の交感神経と、フラフラするアセチルコリン分泌の副交感神経があります。
交感神経が緊張に支配され、副交感神経がリラックスに支配されます。これもバランスが大事で、リラックスしすぎるとフラフラしすぎてだるくなりめまいがします。緊張しすぎるとドキドキしすぎて堅苦しくなります。そして一瞬で偏るのではなく、一定のバランスに落ち着くまでに時間を必要とします。
屁理屈に聞こえるかもしれませんが、「した結果」は行動であり、「しなかった結果」も行動です。結果として「した変化」も「しなかった変化」もそれぞれ実際に起きるということです。余暇や休暇は「からだ」と「こころ」のバランスにとても必要です。でも余暇や休憩だけを大事にしすぎると実行を忘れてしまいます。思いを形にするには実行しなければ形になりません。
ですから目を開けて五感を外に向けている時間も必要ですが、目を閉じて五感を内側に向けている時間も必要なのです。まさに目を閉じることがアルファ波を活性化し、集中力を高めます。
こころの活力とは、ストレスによるほどよい疲れと、そこからの回復を行ったり来たりする中で得られる、ダイナミックな発達の体験に対して達成感を感じられることです。
やり切った感と休んだ感の充実がこころに活力を与えてくれます。