皮膚に触れると、触り方や触った場所、その時の気持ちや状況などによって、様々な感覚や情緒が引き起こされます。たとえば、首の座っていない赤ん坊をそっと抱きあげると、愛しさや優しさ、温かさがこみ上げてきます。そんな気持ちで抱き上げると、赤ん坊にも安らぎの表情が見られます。
そういった、意識的な反応とは無関係に、無意識の反応も起こっています。手から刺激が視床下部へ伝達し、末端神経からオキシトシンが分泌されるために起こるリラックス効果つまり、無意識の反応である「反射」です。
スキンシップで血圧、心拍数、ストレスホルモン値が低下し、健康を増進します。子どもがスキンシップを受けると、落ち着きが増し、対人的に成熟し、攻撃性が減少します。やさしく包み込むようなスキンシップは、早産児の体重が増えるという報告結果もあるようです。
例えばラットに強制的にオキシトシン物質を注射すると、仲間同士が仲良くなるとか、痛みの閾値が上がるとか、いろいろな効果があることがわかっています。
「オキシトシンと人間関係」ですが、「スキンシップ」は動物においてオキシトシンの放出を引き起こします。人間でも恐らく同じことが起こっているのです。オキシトシンの放出は、人と人との関係性、とりわけ母と子の間の感情的な絆「愛情」を形成します。良好な人間関係は健康にとっても重要です。それが顕著なのは、乳がんなどの病気の人の中でも親しい人間関係を持っている人は、そうではない人に比べて生存が長いことがわかっています。
そして、「快いタッチの効果」ですが1分間に40回の割合で快いタッチを行った場合、ラットの実験において、血圧低下、痛みの閾値上昇、ストレスホルモンの低下、お互いの成長促進、他者との相互関係のかかわりの増加、学習能力の向上等の効果があることがわかっています。
痒みや痛みなどのストレスは、肉体的に害のある刺激によって誘発されます。身体に危険な刺激が加えられると、末端神経から中枢神経を経由して、大脳に送られて特有のストレスという感覚を誘発します。
そして、麻酔をするとストレスの感覚は消滅します。でも自律神経は反応するのです。例えば、麻酔で尿意はなくなりますが、排尿反射は持続します。つまり、軽い刺激=伝達スピードが遅い神経反射(歩くぐらいの速さ、感情や思い)は抑えられ、強い刺激=伝達スピードが速い神経反射(心臓などの臓器の反射や呼吸などの生命維持の反射)は抑えられません。
つまり、痛みがあるところを手で押さえると痛みが軽減することに、麻酔薬の神経抑制に似たような神経抑制効果があるということです。
皮膚への触り方
神経解剖学と神経生理学より
皮膚には末梢神経が広がっており、それらは筋肉へと繋がっています。
筋肉には筋紡錘というセンサーあり、タッチされた強度や皮膚が感じた圧や振動によって筋肉を収縮させたり、(腱紡錘の収縮を感知して)弛緩させたりします。
筋紡錘は筋肉の収縮線維束の中に分布している特殊な感覚器官です。
筋紡錘は筋肉のどこにでも分布していますが、特に筋肉の中心部にたくさん集中しています。
筋肉が伸ばされる⇒筋紡錘が刺激される⇒伝達刺激が脊椎へ送られる⇒運動神経が速い信号を送る⇒伸ばされた筋肉が収縮する
つまり、筋肉が急に引っ張られると、筋紡錘は抵抗して筋肉を緊張させます。
例えば、急に腕を引っ張られると、引っ張られないようにと腕に力が入って緊張してしまうものです。逆に腕を急に押すと、だらんと腕に力が入らなくなります。
この習性を利用して筋紡錘を「ソフトタッチ」でつまんだり(押したり)伸ばしたり(引っ張ったり)することによって「勘違い」させ、嘘の筋肉伸展情報を伝えることで、筋肉のスイッチを切り替えてブロッキングが起きているか、いないのかを判断できます。
触らせる側も「触られている」と感じていると筋肉の緊張が解けませんから、「触らせている」と感じると心構えが変わり、自分を解放しやすくなります。
セルフチェックする方法
肘を曲げてすると確認がしやすい「力こぶ」上腕二頭筋を使ってします。
右肘を曲げた状態で、その手首の部分を左手の指先で押しても、正常なエネルギーであれば上腕二頭筋の力が強く、右肘はびくともしないでしょう。
※もし、これで上腕二頭筋が指先の力に屈して肘が伸びた場合、それは何らかの異常で上腕二頭筋の「筋紡錘反射」がOFFになっていることを意味します。鍼灸などの東洋医学では上腕二頭筋の神経の通り道である経絡は、胃経の対応筋とされていて胃や脾臓のエネルギーの流れに異常があることを意味します。この場合、胃経のエネルギー調整が必要となります。大腿四頭筋のストレッチや脛の筋膜リリースが効果的です。
右ひじを曲げた状態で、「力こぶ」の頂上付近を左手人差し指と親指で摘まんでみます。正常なエネルギー状態のとき、右手首を左手指先で押してみると、力がうまく入れられません。それどころか、筋肉に触れなくても、そのスレスレのところで同じ動きをしても同じ効果があります。もっと驚くべきことに筋肉を指で摘まむイメージを頭の中で空想するだけでも同じ効果が得られます。
右ひじを曲げた状態で、「力こぶ」の頂上付近を左手人差し指と親指で広げてみます。正常なエネルギー状態のとき、右手首を左手指先で押してみると、がっちり力が入って動きません。それどころか、筋肉に触れなくても、そのスレスレのところで同じ動きをしても同じ効果があります。もっと驚くべきことに筋肉を指で広げるイメージを頭の中で空想するだけでも同じ効果が得られます。
しかし、筋紡錘反射(無意識)と触るイメージ(意識)は相反するメカニズムなので、イメージするだけで反射が起こるということは、生理学的観点では矛盾していて説明がつけられません。
個人的推論ですが、量子物理学的観点でいうところの神経伝達エネルギーのエンタングルメント(量子テレポーテーション)が起きているのでは?と思っています。
上腕二頭筋は力こぶの筋肉として最も馴染みが深いのでセルフテストとして載せましたが、実際にはどの筋肉でも考え方は同じです。琉球キネシオロジーのMTでは、「三角筋前部」という肩の筋肉を使います。
MT(筋肉反射テスト)
手のひらを下にして、真っすぐ伸ばした腕を肩関節から、まっすぐ前方へ、下から少し上げた状態で腕を止めます。両手を少し上げた状態で、手首の部分を押しても、正常ならば三角筋前部の力が強く、びくともしないでしょう。
※もし、これで三角筋前部が指先の力に負けて腕が下がった場合、それは何らかの異常で三角筋前部の「筋紡錘反射」がOFFになっていることを意味します。鍼灸などの東洋医学では三角筋前部の神経の通り道である経絡は、肺経の対応筋とされていて肺や気管支のエネルギーの流れに異常があることを意味します。この場合、肺経のエネルギー調整が必要となります。お腹のマッサージ、手首のストレッチや大胸筋の筋膜リリースが効果的です。