執着をなくせば、治癒力を取り戻せるはずです。
※陰陽五行では、肝は怒りです。怒りと嫌悪で軽蔑、また怒りと期待で攻撃という感情になりますが、その反対の感情である畏怖に近い感情、認めてほしい不安となるのは、私の経験からこういう方が多く見受けられるからです。ご了承ください。
①忙しい
肝細胞は普段から、頻繁にタンパクを沢山合成するために、細胞分裂をするときだけに発現するはずの「遺伝子の螺旋構造が解けた」二核の状態をキープしています。
肝臓は、全ての臓器の中で最も多い500種類以上の化学反応でタンパクとビタミンの合成を行ないます。その代表は血液の中にあるアルブミンと、フィブリノーゲンなどの血液を凝固させるいくつもの因子です。肝臓は一日あたり25グラムもの血漿タンパクを合成しています。がんばれば一日50グラムは合成できますから、体中の血液が半分失われたとしても、1~2週もあれば血液タンパクを元通りに補給してしまいます。油に溶けるビタミンAとDの合成にも深く関わっています。
アルコールなどの解毒も行ないます。
②無理がきく
さらに肝臓だけは特別扱いで、血管系が三つあります。動脈は主に酸素を供給するのが目的です。静脈は主に二酸化炭素を排出するのが目的で、他に「門脈」があります。
これは胃腸から吸収された栄養分を肝臓に運ぶことが主な目的です。
他に脾臓からの血液も門脈に合流しますが、普段肝臓は、頻繁にタンパクを沢山合成するために、遺伝子の螺旋構造が解けた二核の状態を正常に保つために、ウィルスの影響を受けないようにリンパ球を多く含む脾臓経由での血液も受け入れるためです。
肝臓から出る血管は肝静脈だけで、一本です。一分間に肝動脈から300ミリリットル(mL)、門脈から1,000 mL、合計で1,300 mLの血液が肝臓に入ってきます。これは、心臓が一分間に送り出す血液の約4分の1に相当します。肝臓の重量は、体重の50分の1ですから、重さに比べて大量の血液が流れ込んできます。
③再生するし、活性化する
様々なホルモンや酵素などのタンパク物質を作りつつ、消化・吸収された糖分であるグルコースを重合させて、グリコーゲンとし、肝細胞に貯蔵します。必要に応じてそれをグルコースに戻し、体中にエネルギーを補給します。重さで肝臓の約10分の1はグリコーゲンです。マラソンの選手が何も食べないで42.195キロを走りきれるのは、肝臓にグリコーゲンという糖が貯蔵されているからです。
また、手術して肝臓の大部分を切り取り、僅かに数分の一だけを残しておいても、十分に生きていけます。それどころか、そのあとで残った肝臓が肥大して再生します。
①~③のことから、陰陽五行において、「切っても生える、水を吸って自由にどんどん成長する」木のエネルギーが当てはまります。木のエネルギーは、自由に拡張するエネルギーです。
①~③のことから、アーユルヴェーダにおいて、「感情が激しくなり、批判的で高慢になる」ピッタ(熱)のエネルギーが増えた状態です。ピッタは欲求、活動を表します。
肝臓は、忙しくする人、無理をする人、我慢する人、見栄っ張りな人、してもらうのは当たり前と思っていて感謝しない人、上から目線の人、また卑屈でいやらしい人に共鳴する臓器です。この共鳴が、長く続くと自分が期待することが成就されずに、不満という感情が湧き上がります。その不満は、もともとは期待への「心配」や「がっかり」、「恥ずかしさ」や「傷ついた」という感想的な気持ちだったものが、相手への期待にすり替わったときに、容易に「イライラ」に転じてしまいます。徐々に大きくなると「怒り」になり、肝臓が活性化しすぎて、炎症を起こします。
本来ピッタが多い人が、コーヒー、アルコール、辛い食べ物を摂取すると悪化すると言われています。また、働きすぎても暴力行為を目にしてもピッタは増大する可能性があります。
肝臓
腸がペースト状に進化した臓器です。肝臓に進化出来たことで、栄養を肝臓に蓄えられるようになりました。肝臓に共鳴する怒りが肝臓を必要以上に活性化させ疲弊させます。
胆のう
肝臓から進化した臓器です。血液の赤血球が還元されてできた終末物質であるビリルビンと、ホルモンが還元されてできた終末物質である脂肪酸が酸化されて、胆汁を作ります。
胆のうに進化出来たことで、脂肪を皮下脂肪に蓄えられるようになりました。肝臓で処理しきれなくなった怒りの感情は、胆のうの機能も低下させます。
目
顔の中でも脳の次に多くの血液を必要とする器官で、毛細血管がびっしりと張り巡らされています。ですから、肝臓の働きがにぶると、目に健康な血液が十分にゆきわたらなくなり、目が疲れる、ぼやける、かすむ、視力低下、ドライアイといった症状が現れてきます。さらに白目が黄色くなり、目のまわりにクマやシワが出やすくなります。
怒りは過去からくる攻撃感情ですから、威嚇するために眉間(目)、のど(唸る)、(大きく見せるため)肩が上がり、頭頂部、手の甲、足の甲が硬くなります。攻撃するために全身は収縮する方向に固まります。足は内転して、肋骨は息が苦しくなるほど狭くなり、肘も膝も曲がって前傾姿勢になります。熱が上昇し、上半身が熱くなります。
怒りの感情は、このような特徴的な姿勢を作りますから、手足を大きく外に開き、伸びをして深呼吸をすると攻撃感情が薄くなります。
また、「認めて欲しい」感情が基になっているのが怒りの感情ですから、認めて欲しくて無理をするので、認められたとしても結局不満が残ります。他者からの評価を気にしないためには、優越感や劣等感を感じる今までの性格や価値観を変える必要があります。例えば、ついつい自分を良く見せようとする癖や、人の目を気にしてしまうといった性格のことです。
これを「ライフスタイルを変える」といいます。
認めて欲しい感情をなくす方法
相手との距離を保つ方法
①過去の自分から脱却する
「私はつまらない」「私は能力がない」「私は好かれることがない」といった思いは、過去の自分自身に対する思い込みです。この価値観は過去の記憶や経験から見いだしたものかもしれません。しかし、ただの思い過ごしかもしれませんし、未来は決まっていないし、無関係です。
人と比べて自分に優劣をつけていませんか?
「今日は、いつもと違う自分である」という意識を持ってみてください。昨日のような自分である必要はありませんし、決まっていません。どれが良くて悪いという事もありません。
②理想に思う相手から脱却する
「あの人は学歴で人を評価する」「あの人は能力のない人を相手にしない」「あの人は魅力のない人を嫌う」といった相手に対する思い込みです。この価値観も過去の記憶や経験に基づいた狭い範囲の認知観であり、全ての相手に当てはまる価値観ではないことに気付く必要があります。
相手がどう思うかではなく、自分が相手にどう思われたいのか、という欲求に囚われていることに気付きましょう。
自分がどう思われたいのか?ではなく、自分が自分をどう思うか?という意識を持ってみてください。本来人は、価値観が違うのですから、相手が自分のことを、どのように思おうが関係ないのです。
③未来の自分から脱却する
「私の話はつまらない。だから、私は人と接する仕事を避けなければならない」「私は能力がない。だから、私は目立ってはいけない」などの「私は、~しなければならない」「私に、~して欲しい」といった思いは、未来の自分に対する思い込みです。
理想が高すぎると現実のギャップに苦しみます。
「そうする必要はない」という意識を持ってみてください。今からの自分はいつもの自分である必要はないですし、決まっていないのです。良い結果も悪い結果もあるのです。完璧という良い結果だけを求めると無理をするので、疲れますし不満になります。
慣れた自分を捨てる勇気が必要です。そしてライフスタイルを変えることが出来れば、怒りが減っていきます。
また、アーユルヴェーダのピッタタイプの人が、バランスを回復させる要素は、
「冷やす」
「落ち着く」
「中庸(ほどほど)」
です。
熱したオーブンを冷ますのに時間がかかるように、頑強なピッタは、鎮めるのに時間を要するので、冷水で目や頭や足を洗ったり、冷たいシャワーを浴びたり、寝る前に星を見たりして心身を鎮めるようにすることが有効だそうです。
味覚の観点
肝臓は血液を呼び込んで解毒する機能がありますが、肝臓が疲れると血液が汚れやすくなります。細胞からカリウムが出やすくなりますから、「酸っぱいもの」を欲しがります。酸っぱいものには解毒作用があり、細胞を引き締める作用があります。
胃が弱く肝臓が無理をした方は甘酸っぱいものを欲しがりますし、腎臓肝臓が無理をした人は酸っぱいしょっぱいものを欲しがります。心臓が無理をした人は甘い辛い酸っぱい濃い味(究極は苦味)を欲しがります。風邪を引いていたり気管が弱く肝臓が無理をした人は、鼻を刺激する辛い味を欲しがります。